WomansShape

女性のためのトレーニング&スポーツ専門誌
「鍛えた女性は美しい」をコンセプトに、女性のためのトレーニング方法を紹介しており、エクササイズ・フィットネス・ダイエット・スポーツなども掲載しています。体を鍛えながらシェイプアップしたい女性にオススメです。

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桑原流ボディメイキングの鉄則★(その1)

今回、私が取り上げたい素材はコエンザイムQ10です。コエンザイムQ10は一度ブレイクした素材で、おそらく本誌読者のみなさんも一度は耳にしたことがあると思います。ただし非常に知名度が高い素材である一方、コエンザイムQ10の効果をボディメイクの中で体感していた人は少なかったかもしれません。どちらかというとコエンザイムQ10は美容のイメージが強く、当時の私も今一つ『これはすごい!』という感じがなくて、あくまでブームになった素材、美容のための素材という印象のままでした。あれから時が経ち、改めてコエンザイムQ10とは何だったのか?をもう一度ひも解いてみると、身体の中の成分としては非常に優先順位の高いものであり、それと同時にすぐに効果を求める類のものでもないのだということが分かってきました。私も自らコエンザイムQ10を試してみて、色んな確認をし続けてみたのですが、コエンザイムQ10は一言で言うとコンディションがよくなる、もう少し具体的に言うと疲れにくくなるという効果を感じました。その点において根本的に競技として減量が必要な方だったり、ボディメイクに力を入れている方だったり、そういった人たちにはコエンザイムQ10はぜひおすすめしたいサプリメントです。みなさんも減量やボディメイクに取り組んでサプリメントを摂る中で、なぜプロテインを飲むのか? なぜグルタミンを摂るのか? それぞれ理由があると思うのですが、コエンザイムQ10はエネルギーを作り出すところのキーになる成分なのです。エネルギーを作るための主な材料には糖質や脂質があり、みなさんもそこにはこだわりを持っていると思います。もちろんいい素材・いい食材を口にすることは正しいことなのですが、厳正して摂った素材が最後の最後でエネルギーに換わる時に必要になるものがコエンザイムQ10です。もしコエンザイムQ10が足りていない状況であれば、いくらエネルギーになるものを摂っていたとしても、それが効率よくエネルギーになってくれません。ここで一つ頭に入れておいてもらいたいのが、エネルギーについての考え方です。これは勘違いされやすいところなのですが、エネルギーという言葉を聞くと、運動するときに使われるものというイメージを持つ人が多いと思います。しかし私たちの身体は約60兆個の細胞で構成されていて、そのすべてがエネルギーを作って、そのエネルギーを使うことを繰り返しています。例えば皮膚、骨、内臓、網膜……それら全ての細胞がエネルギーを生み出しているわけです。これがいわゆる新陳代謝と呼ばれるもので、細胞がエネルギーを作る能力が落ちることが〝身体の衰え〞になるわけです。そして60兆個の細胞一つ一つがエネルギーを生み出すために必要とされるものがコエンザイムQ10というわけです。こういった理由から我々の体内ではコエンザイムQ10は合成されるようになっているのですが、実は体内でのコエンザイムQ10の生産能力は20歳から衰えていくと言われています。これは他の様々な合成能力のピークと比べても非常に早いもので、例えば成長ホルモンは30歳を越えてから落ち始めますし、多くの身体に必要なものは30半ばから落ちていく傾向にあります。つまりコエンザイムQ10だけで考えれば20歳を過ぎたら老化がスタートしているという見方もできるわけです。では一般の食事からコエンザイムQ10を補充しようとした場合、実はこれが非常に難しいのです。コエンザイムQ10は一日100mg摂ることを推奨されていますが、食材の中で最もコエンザイムQ10を多く含むイワシでさえ、一匹につき5mg程しか含まれていません。つまり食材だけで理想のコエンザイムQ10を補おうとしたら、毎日イワシを20匹食べる必要があります。さすがにこれは非現実的ですよね。さらに言うと2001年までコエンザイムQ10は医薬品扱いだったので、以前は私たちが気軽に手にすることができませんでした。その後、食薬区分の改定が進んで、コエンザイムQ10はサプリメントとして手軽に手にすることができるようになりました。ちょうど各原料メーカーさんが『コエンザイムQ10は美容にいい』という宣伝文句で売り出したため、一気に知名度が上がってブームになった反面、先ほど説明したような本来のコエンザイムQ10が細胞のエネルギー産生のキーとなっている点が伝わらなかったのではないかと思います。当時、コエンザイムQ10はお肌にいい・髪の毛がツヤツヤすると言われていて、それはあくまで肌や髪の毛の細胞の話で、もっと根源的な部分でコエンザイムQ10は60兆個の細胞一つ一つのエネルギーを生み出し、細胞一つ一つを若返らせていることに注目すべきかなと思います。私が体感したコエンザイムQ10の効果として疲れにくくなるという言葉を使いましたが、それはそれで非常にありきたりな表現ではあるんですよ。おそらくボディメイクや身体作りをする上で、みなさんは筋肉をもっとつけたい、脂肪を落としたい……など、今のフィジカルが劇的に変わることを期待していると思います。もちろんそれは間違っていないのですが、それと同時にいかにマイナスを抑えるか?ということも大事になってきます。私はマイナスを抑える素材としてグルタミン、乳酸菌、食物繊維、そしてコエンザイムQ10の4つがポイントだと考えています。サプリメントを摂るというと、どうしてもクレアチンやBCAAのように飲むとプラスの方に効果が出やすいものに人気が出がちなのですが、実はマイナスを抑える方を意識することでより効果が出る場合もあります。コエンザイムQ10は分類すると酸化型のコエンザイムQ10と還元型のコエンザイムQ10が存在するのですが、体内でエネルギーを作り出すときには還元型のコエンザイムQ10が使われています。仮に酸化型のコエンザイムQ10を摂ったとしても、最終的に体内では還元型のコエンザイムQ10に変換されて利用されています。問題はその変換する能力も年齢と共に衰えていくという点です。コエンザイムQ10が出始めた当初は酸化型のコエンザイムQ10しかなかったのですが、2007年頃からは製造技術の進化によって還元型のコエンザイムQ10も作られるようになりました。より完成度の高いコエンザイムQ10を摂りたい場合は還元型という点にこだわってもいいかなと思います。特に年齢的に30代半ば以上でボディメイクに本気で取り組もうとしている人は還元型のコエンザイムQ10が役に立つのではないかと思います。ボディメイクをはじめ最近ではフィジークやビキニなど様々な取り組みがあると思いますが、どうしてもみんなプラスの方向ばかりに目が行きがちなんですね。でもプラスをやればやるほど、マイナスがあるということを忘れてはいけません。例えば減量や食事制限は確実に栄養が不足して免疫が落ちたり、明らかにマイナスの要素も増えていきます。100のプラスがあっても、80のマイナスがあったら、効果は20しかありません。逆にプラスが80しかなくても、マイナスを40に抑えれば、40の効果を得ることができます。ボディメイクにおいて、このプラスとマイナスのバランス・綱引きで、いかにプラスを残すのかという発想が非常に重要です。本誌読者のみなさんもボディメイクの際には、還元型のコエンザイムQ10をはじめとするマイナスを抑える素材や成分を意識してみてください。サプリメント的に言っても、例えばBCAAやアルギニンのようなプラスの作用が大きなものは脚光を浴びやすい傾向にあります。逆に今回取り上げた還元型のコエンザイムQ10やグルタミンのような、マイナスを抑えるサプリメントを意識することがボディメイクがグッと上手くいく秘訣かもしれません。今回は還元型のコエンザイムQ10をテーマに話を進めてきましたが、今注目度が上がっていて、私自身も注目しているHMBについても少し触れておきたいと思います。HMBはBCAAに含まれるロイシンというアミノ酸の派生物で、BCAAが身体に入ると、BCAAの中のロイシンの約5%がHMBに変わります。そしてこのHMBはエムトール(m・TOR)という筋タンパクを合成に向かわせるスイッチを活性化させる役割を担っています。つまりエムトールが活性化すれば筋タンパクの合成がプラスに傾くことになり、それがBCAAを飲む理由の一つでもあり、その特長をさらに追及したものがHMBというイメージで考えてください。こういった説明をするとHMB=筋タンパクの合成をプラスに傾けるものとして、先ほど説明したサプリメントの考え方でいうと、プラスの作用が大きなものとして認識される方も多いと思います。しかし私自身がHMBを一年ほど使い込んでみて体感した感想としては、〝筋肉を増やす〞ことよりも〝筋肉を減らさない〞方でした。もちろんHMBの特長を考えて、筋肉をつけるという目的でHMBを飲んでトレーニングを増やすことも間違いではありません。しかし私の感覚では、筋肉をつけるということが目的であれば、プロテインやBCAA、クレアチンの優先順位が高いように感じました。それよりも脂肪を減らすために食事制限をしたり、本誌読者の方であればボディメイクのために減量をしている時期にこそ、HMBを飲んで減量における筋肉の分解を防ぐ方がいいのではないかと思っています。では、具体的にはどんな飲み方がおススメかというと、BCAAとHMBを併用して飲むことですね。HMBはあくまでBCAAのなかのロイシンの派生物ですが、BCAAにはあって、HMBにはない効果があります。例えばBCAAにはピルピン酸を経由せず、乳酸を作らずにエネルギーへと変わったり、血漿中でトリプトファンを抑えて集中力を高めたり……といった効果も期待されますが、これはHMBにはないものです。そこでトレーニング前・トレーニング中にはBCAAをしっかり飲んで運動強度を上げて、例えば各食後にHMBを飲んで筋肉の分解を防ぐ。そういった役割分担をイメージしてBCAAとHMBを併用することをおススメします。繰り返しになりますがボディメイクで重要なことはプラスとマイナスのバランス・綱引きを意識して、どれだけプラスを残せるかということ。改めてそこを意識し、より効果的なボディメイクにつなげてください!(Woman'sSHAPE Vol.16より)